ビジネス用語

Embedded Finance(エンベデッド・ファイナンス) とは?なぜ注目されているのか、分かりやすくご紹介いたします!

2023.08.07

エンベデッド・ファイナンスとは?

エンベデッド・ファイナンス(Embedded Finance)とは、従来の金融サービスと非金融業界の製品・サービスを統合する新しいビジネスモデルやテクノロジーのアプローチを指します。この概念では、金融サービスを個別のプラットフォームやアプリケーションに組み込むことにより、顧客がよりシームレスで便利な方法で金融取引を行えるようにします。従来、金融サービスは独立した銀行、保険会社、証券会社などが提供するものでしたが、

エンベデッド・ファイナンスのコンセプトでは、他の業界の企業やプラットフォームが自社の製品やサービスに金融機能を組み込むことで、顧客に金融サービスを提供します。

例えば、Eコマースプラットフォームが支払いサービスを提供したり、モビリティ企業が保険サービスを提供したりすることが考えられます。エンベデッド・ファイナンスは、デジタル技術の進化と共に急速に発展しており、今後ますます多くの企業がこのアプローチを採用することが予想されています。

エンベデッド・ファイナンスが注目されるようになった背景

エンベデッド・ファイナンスが注目されるようになった背景には、いくつかの要因が影響しています。

デジタルテクノロジーの進化

デジタルテクノロジーの進化により、様々な業界でシームレスなデジタルエクスペリエンスが実現できるようになりました。

これにより、非金融業界のプラットフォームやアプリケーションに金融サービスを統合することが容易になり、エンベデッド・ファイナンスが現実的な選択肢となりました。

客の利便性への要求

顧客はより便利でシームレスなサービスを求める傾向があります。従来の金融サービスは独立したプラットフォームで提供されることが多く、

取引のために複数のアプリケーションを使い分ける必要がありました。エンベデッド・ファイナンスにより、顧客は1つのプラットフォームで複数のサービスを利用できるため、利便性が向上しました。

データの活用とパーソナライゼーション

エンベデッド・ファイナンスを導入することで、他の業界のプラットフォームが提供する豊富なデータを活用して、顧客により適切な金融サービスを提供できるようになります。顧客の行動やニーズに基づいてパーソナライズされたサービスを提供することが可能となりました。

新たなビジネス機会の拡大

エンベデッド・ファイナンスは、金融サービスを非金融業界に統合することで、新たなビジネス機会を創出します。非金融業界のプラットフォームが金融サービスを提供することで、収益の多様化が可能になります。

フィンテックの成長

フィンテック企業の台頭により、新たな金融サービスやテクノロジーが急速に進化しています。これらのフィンテック企業はエンベデッド・ファイナンスを推進する重要な役割を果たしており、金融サービスの普及に貢献しています。

これらの要因により、エンベデッド・ファイナンスは今後ますます重要性を増すと予想されています。非金融業界のプラットフォームが金融サービスを取り入れることで、顧客体験が向上し、新たなビジネス機会が生まれることが期待されています。

エンベデッド・ファイナンスの目的

エンベデッド・ファイナンスの主な目的は、非金融業界のプラットフォームやアプリケーションに金融サービスを統合することにより、顧客によりシームレスで便利な金融取引体験を提供することです。

具体的な目的は下記の通りです。

シームレスな取引体験の実現

エンベデッド・ファイナンスは、非金融業界のプラットフォームに金融サービスを統合することで、顧客が複数のアプリケーションを使い分ける必要がなくなります。1つのプラットフォーム内で複数のサービスを利用できるため、取引がよりシームレスになります。

利便性の向上

顧客はより便利で効率的な取引を求める傾向があります。エンベデッド・ファイナンスにより、非金融業界のプラットフォームが顧客に簡単な金融サービスを提供することで、利便性が向上します。

パーソナライズされたサービスの提供

エンベデッド・ファイナンスでは、他の業界のプラットフォームが提供するデータを活用して、顧客により適切な金融サービスを提供することが可能となります。顧客の行動やニーズに基づいたパーソナライズされたサービスを提供することで、顧客の満足度を向上させます。

新たなビジネス機会の創出

エンベデッド・ファイナンスは、金融サービスを非金融業界に統合することで、新たなビジネス機会を創出します。非金融業界のプラットフォームが金融サービスを提供することで、収益の多様化が可能になります。

顧客の継続的な参加とロイヤルティの向上

顧客が利便性の高いサービスを提供してもらえることで、非金融業界のプラットフォームへの顧客の参加とロイヤルティが向上します。金融サービスの統合により、顧客はより長期的な関係を築くことができます。

これらの目的により、エンベデッド・ファイナンスは非金融業界のプラットフォームにとって顧客の満足度向上とビジネスの成長に寄与する重要な戦略となっています。

エンベデッド・ファイナンスの方法

エンベデッド・ファイナンスを実現する方法には、下記のような手法やアプローチがあります。

API(Application Programming Interface)の活用

非金融業界のプラットフォームが、金融機関やフィンテック企業のAPIを組み込むことで、金融サービスを提供します。例えば、Eコマースプラットフォームが支払いサービスを外部の決済プロバイダのAPIを使って統合し、顧客に簡単な支払い手段を提供することができます。

プラットフォームの内部統合

非金融業界のプラットフォームが独自に金融機能を開発し、自社のサービスに統合することもあります。例えば、モビリティ企業が自社アプリで保険サービスを提供するような場合です。

パートナーシップの構築

非金融業界のプラットフォームが金融機関やフィンテック企業と提携し、共同で金融サービスを提供することがあります。これにより、相互の得意分野を活かして顧客に価値を提供することが可能となります。

ホワイトラベルサービス

非金融業界のプラットフォームが金融機関から提供されるホワイトラベルサービスを導入することで、自社ブランドで金融サービスを提供します。この場合、顧客にはプラットフォームの名前やデザインでサービスが提供されますが、実際のサービス提供元は金融機関になります。

マーケットプレースの形成

非金融業界のプラットフォームが、金融機関やフィンテック企業のサービスを集約するマーケットプレースを構築することで、顧客に幅広い金融サービスを提供します。顧客はマーケットプレース内で選択肢を比較し、最適な金融サービスを利用することができます。

これらの方法により、非金融業界のプラットフォームが金融サービスを統合し、顧客により便利でシームレスな取引体験を提供することが可能となります。

エンベデッド・ファイナンスは、顧客のニーズに合わせた多様な金融サービスを提供することで、プラットフォームの価値を向上させる重要な手段となっています。

他ファイナンスとの比較について

エンベデッドファイナンスと他のファイナンス(従来の金融サービスやフィンテックなど)との比較について、下記にてご紹介いたします。

提供手段

エンベデッドファイナンス

エンベデッドファイナンスは、非金融業界のプラットフォームやアプリケーションに金融サービスを統合する手法です。非金融企業が自社の製品やサービスに金融機能を組み込み、顧客にシームレスな取引体験を提供します。

他のファイナンス

他のファイナンスは、従来の金融機関やフィンテック企業によって提供される金融サービスです。これらは独立したプラットフォームやアプリケーションで提供されることが一般的です。

対象顧客

エンベデッドファイナンス

エンベデッドファイナンスは、非金融業界のプラットフォームを利用する顧客を対象とします。例えば、Eコマースプラットフォームやモビリティ企業などのユーザーが対象です。

他のファイナンス

他のファイナンスは、従来の金融サービスを求める顧客を対象とします。銀行口座やクレジットカード、投資サービスなどを利用する一般の消費者や企業が対象です。

提供形態

エンベデッドファイナンス

エンベデッドファイナンスでは、金融サービスが非金融業界のプラットフォーム内に統合されます。顧客はプラットフォームを利用する中で金融サービスを受けることができます。

他のファイナンス

他のファイナンスでは、顧客は専用の金融機関やフィンテック企業のプラットフォームにアクセスして、金融サービスを利用します。

顧客体験

エンベデッドファイナンス

エンベデッドファイナンスにより、顧客は非金融業界のプラットフォーム内で簡単に金融取引を行うことができます。複数のアプリケーションを切り替える必要がなく、シームレスな体験が提供されます。

他のファイナンス

他のファイナンスでは、顧客は複数の金融機関やフィンテック企業のプラットフォームを利用することがあり、取引のために別々のアカウントやアプリケーションを使用する必要がある場合があります。

市場参入

エンベデッドファイナンス

エンベデッドファイナンスは、非金融業界のプラットフォームに参入する金融機関やフィンテック企業によって実現されます。既存の顧客基盤を持つ非金融企業が新たな収益機会を創出する手段として採用することが多いです。

他のファイナンス

他のファイナンスは、従来の金融機関やフィンテック企業が独自のプラットフォームを提供し、市場に参入します。

これらの比較からわかるように、エンベデッドファイナンスは、非金融業界のプラットフォームを利用して金融サービスを提供する新しい手法であり、顧客により便利な体験を提供することが特徴です

一方、他のファイナンスは従来の金融サービスを提供する形態で、金融機関やフィンテック企業が独自のプラットフォームを活用します。

メリットとデメリット

エンベデッドファイナンスのメリットとデメリットについて、下記にてご説明いたします。

メリット

シームレスな取引体験

エンベデッドファイナンスにより、非金融業界のプラットフォーム内で金融サービスが提供されるため、顧客は複数のアプリケーションを切り替える必要がなくなります。シームレスな取引体験が実現され、利便性が向上します。

顧客のロイヤルティ向上

顧客が非金融業界のプラットフォームを利用する中で金融サービスを提供してもらえるため、顧客の満足度が向上し、プラットフォームへのロイヤルティが高まります。顧客は独立した金融サービスを利用するよりも、統合されたサービスを提供するプラットフォームを選好する傾向があります。

新たなビジネス機会の創出

非金融業界のプラットフォームが金融サービスを提供することで、収益の多様化が実現します。新たなビジネス機会が生まれ、プラットフォームにとって収益の拡大が可能となります。

パーソナライズされたサービス

他の業界のプラットフォームが提供するデータを活用して、顧客により適切な金融サービスを提供することができます。顧客の行動やニーズに基づいたパーソナライズされたサービスを提供することで、顧客の満足度が向上します。

デメリット

セキュリティリスク

非金融業界のプラットフォームに金融機能を統合することで、セキュリティ上のリスクが増加する可能性があります。金融サービスには個人情報や取引データなどの重要な情報が含まれるため、適切なセキュリティ対策が必要です。

法的・規制上の課題

金融サービスは法律や規制によって厳格に制御されています。非金融業界のプラットフォームが金融サービスを提供する場合、適切な法的手続きや規制の遵守が必要となります。

パートナーシップの調整

エンベデッドファイナンスを実現するには、非金融企業と金融機関やフィンテック企業との間でパートナーシップを構築する必要があります。異なる業界や企業間の協力を調整することは、時間と労力を要する場合があります。

ビジネスモデルの変革

エンベデッドファイナンスは、非金融業界のプラットフォームにとって新しいビジネスモデルの構築を意味します。既存のビジネスモデルを変革する際には、新たな戦略とリソースの投入が必要となります。

これらのメリットとデメリットを考慮しながら、非金融業界のプラットフォームがエンベデッドファイナンスを導入する際には、適切な戦略と計画が重要となります。

まとめ

最後に、クロス・オペレーショングループは、マーケ・営業・カスタマーサクセス・カスタマーサポートのオペレーション構築・効率化を実現し、そのアウトプットを提供しています。

資金調達後、自社のオペレーションを構築したい方や、マニュアル化、型化にお困りの方は、ぜひご相談ください。

この記事を書いた人

Operation事業部

辻川 知週

新卒から5年間、一貫してセールス職を経験。その後、自身で飲食店を創業し、従業員が行う業務のマニュアル化や仕組化をしたことで売上拡大に成功。オペレーショナル・エクセレンスの実現により、身をもってオペレーションの重要性を体感。この成功体験を広めるべく、オペレーション改革の第一線であるクロス・オペレーショングループに入社。週5日ジムに通うほどのトレーニー。

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