業務効率

業務改善とは?正しく目的を整理し改善する方法を解説!

2024.02.05

はじめに

現代のビジネスにおいて、業務改善は非常に重要な課題のひとつです。業務改善を行うことで、生産性の向上やコスト削減、品質向上など、様々なメリットが得られます。しかし、業務改善を行うにあたっては、正しい目的整理や計画的な進め方が必要となります。本記事では、業務改善とは何か、なぜ必要なのか、メリット・デメリット、効果的に進めるポイント、注意点などを解説します。

そもそも業務改善とは?

業務改善とは、企業が行っている業務を改善し、効率性や生産性を向上させることを指します。業務改善は、業務プロセスの見直しや改善、業務の自動化や効率化、情報システムの導入、従業員の教育・研修など、様々な手法があります。業務改善は、企業がより効率的かつ効果的に業務を遂行することを可能にします。

業務改善が必要な理由

業務改善を行う理由はいくつかあります。

まず第一に、競争力の維持や強化が挙げられます。競合他社と比較して、より高い品質や低いコストで製品やサービスを提供することが求められます。業務改善を行うことで、効率性の向上やコスト削減、品質向上などが可能となり、競争力を維持することができます。

また、業務改善は従業員のモチベーション向上や働きやすさの改善にもつながります。業務改善によって、従業員がより生産的な業務に従事することができ、仕事に対するモチベーションが高まることが期待できます。また、業務改善によって、無駄な業務を削減することができ、従業員の負担軽減や働きやすさの改善につながることがあります。

業務改善が必要な理由について、データや事例を交えて詳しく解説します。

生産性の向上

生産性の向上は、企業の競争力を高める上で非常に重要な要素となります。生産性の低下は、業務効率の悪化や顧客満足度の低下などを引き起こすため、業務改善は必要不可欠です。

例えば、製造業においては、生産性向上のために自動化・省力化を進める取り組みが進んでいます。日本経済団体連合会が発表した「2018年度産業動向調査」によると、製造業における自動化・省力化の進展は加速しており、自動化による生産性向上が目立っています。また、生産性を向上させるためには、業務プロセスの改善が必要です。プロセス改善に取り組んだ企業の事例では、工程時間の短縮や不良品の削減などが実現され、生産性が向上しています。

(参照:https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2018/honbun_pdf/pdf/honbun01_01_02.pdf

品質の向上

品質の向上は、顧客満足度の向上や企業の信頼性の向上につながります。顧客からのクレームや不良品の発生は、企業の評判を落とし、再発防止に多大なコストをかけることになります。

例えば、Appleは、品質の高さが顧客の満足度に大きく影響すると考え、製品の品質管理に特に力を入れています。2018年にアメリカの調査会社J.D. Powerが実施したスマートフォン顧客満足度調査において、Appleが最高評価を受けました。特に、製品の品質や信頼性について高い評価が得られたことが、顧客満足度の高さにつながっていると考えられます。

また、Appleが製品の品質管理にかけるコストは非常に高いとされています。例えば、Appleの製品は製造工程の全てにおいて厳格な品質管理基準に基づいて製造されるとされており、また製品の不良品を発見するための検査にも多額の費用をかけています。これらの取り組みにより、高品質な製品が提供されるという評価が得られています。

加えて、Appleの製品は、一般的に不良品が少ないとされています。例えば、2019年に行われたスマートフォンの耐久性テストにおいて、AppleのiPhone XS Maxは、他のスマートフォンに比べて非常に耐久性が高いという結果が出ています。また、2020年にはApple Watchの耐水性に問題があるとの指摘があったものの、Appleは無料修理を行うなど、不具合に迅速に対応する姿勢も示しています。

コスト削減

コスト削減には、効率的な業務プロセスの確立や、無駄な作業の削減、コスト意識の浸透などが必要です。コスト削減に成功することで、企業の収益性を高め、競争力を向上させることができます。

求められる背景として、競争環境の激化があげられます。例えば、2019年には日本の自動車産業が好調だった一方で、中国や欧州の自動車メーカーからの攻勢が強まっており、日本の自動車メーカーはコスト削減を進めなければならない状況にありました。このように、グローバル競争が激化する中で、コスト削減は企業の生き残りにかかわる重要な課題となっています。

また、日本経済新聞によると、2019年度の日本の企業の平均的な経常利益率は5.5%であり、これは日本の企業の国際競争力の低さを表しています。このような状況下では、企業はコスト削減によって収益性を改善する必要があります。

以上のように、業務改善が必要な理由には、生産性の向上、品質の向上、コスト削減などがあります。企業は、これらの課題に対して業務改善に取り組むことで、競争力を高めることができます。ただし、業務改善には適切な計画や取り組み方が必要であり、慎重な検討が必要です。次のセクションでは、業務改善に取り組む上でのメリットとデメリットについて説明します。

業務改善することのメリット・デメリット

一部、前のセクションで紹介しましたが、業務改善には、以下のようなメリットがあります。

業務改善のメリット

  1. 生産性の向上
    業務改善によって、従業員がより効率的に業務を遂行することができ、生産性が向上します。
    ​​例えば、日本の自動車メーカーであるトヨタ自動車は、自社製造方式である「トヨタ生産方式」により、業務改善を積極的に進めています。その結果、生産性が向上し、製品の品質も高まり、顧客からの信頼を得ています。
  2. コスト削減
    無駄な業務の削減や業務の自動化・効率化によって、コストを削減することができます。
    スウェーデンの家具メーカー、イケアは、持続可能なビジネスモデルの実現のために、業務改善を進めています。具体的には、製品の廃棄物を減らすために、梱包材の使用量を減らしたり、廃棄物をリサイクルしたりすることで、コスト削減を実現しています。
  3. 品質向上
    業務プロセスの改善によって、品質が向上します。
    前セクションで紹介したAppleとは別に、アメリカのスポーツ用品メーカー、ナイキは、製品の品質向上に向けて業務改善を進めています。例えば、製品の開発プロセスを改善し、製品の耐久性や安全性を向上させることで、顧客からの信頼を得ています。
  4. 競争力の維持・強化
    より高品質で低コストな製品やサービスを提供することができ、競争力を維持・強化できます。様々な業界で競争力の維持・強化が行われていますが、航空産業がわかりやすい事例として挙げられます。例えば、ボーイング社は、製品設計・製造・販売において、様々な業務改善を実施してきました。その成果として、ボーイング787は、燃費効率や飛行距離などの面で競合他社の航空機に優位性を持っています。
    これらの例からもわかるように、業務改善によって、競合他社との差別化を図り、競争力を維持・強化することができます。
  5. 従業員のモチベーション向上
    無駄な業務を削減することによって、従業員の負担が軽減され、モチベーションが向上します。
    日本のIT企業、サイバーエージェントは、社員の働き方改革に取り組んでおり、業務改善を通じて従業員のモチベーション向上を図っています。例えば、社員が自由に自分の好きな場所で仕事ができるようになったり、週休3日制度を導入したりすることで、生産性の向上と従業員のワークライフバランスの改善を実現しています。
  6. 組織の改善
    業務改善によって、組織の改善が促進されます。
    スウェーデンの家電メーカー、エレクトロラックスは、業務改善を通じて、組織の改善を進めています。例えば、製品の品質を向上させるために、製造プロセスを改善し、従業員の能力向上にも取り組んでいます。

一方で、業務改善には以下のようなデメリットがあります。

業務改善のデメリット

  1. 初期投資が必要
    業務改善には、新しい設備やシステムの導入など、初期投資が必要な場合があります。例えば、自動化された機械を導入する場合、その機械のコストや設置に必要な費用、従業員のトレーニング費用などがかかります。また、情報システムを導入する場合にも、コンサルティングや設計、開発などの初期投資が必要です。
  2. 変更への抵抗
    業務改善には、既存の業務プロセスを変更する必要があります。従業員が慣れ親しんだ業務を変更することに抵抗がある場合があります。例えば、新しいシステムやプロセスが導入された場合、従業員がその使い方を覚える必要があります。この場合、従業員が新しいシステムに慣れるまでに時間がかかり、生産性が低下することがあります。また、従業員が改善に参加しない場合、業務改善が失敗する可能性があります。
  3. 実行が困難
    業務改善が計画的に進められない場合、実行が困難になることがあります。例えば、新しいシステムやプロセスが導入される際に、十分なトレーニングや教育が行われない場合、従業員が正しく使いこなせず、生産性が低下することがあります。また、改善プロジェクトがうまく進まなかった場合、予算を超過することがあります。
  4. リスクの存在
    業務改善には、リスクが存在します。例えば、新しい設備やシステムの導入によって、予期せぬ問題が発生する可能性があります。また、業務プロセスの改善によって、従業員の雇用が危うくなる場合もあります。ただし、リスクを避けて業務改善を行わないことは、競争力の低下やコストの増大につながる可能性があるため、リスクを適切に評価し、管理することが重要です。

業務改善に活用できるフレームワーク

業務改善を行う際は、フレームワークに沿って進めるのが効果的です。業務ワークに活用できるフレームワークを3つ紹介します。

PDCAサイクル

PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4段階で構成されるフレームワークです。業務プロセスの改善や品質管理に広く用いられ、継続的な改善活動(カイゼン)の基礎となります。PDCAサイクルを回すことで、業務プロセスを段階的に見直し、効率化や品質の向上を図ることができます。

5S

5Sは、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seiso)、清潔(Seiketsu)、躾(Shitsuke)の5つの日本語の頭文字から名付けられたフレームワークです。職場の物理的な環境を改善し、作業効率の向上、安全性の確保、無駄の削減を目指します。5Sは製造業を中心に広く採用されていますが、オフィス環境など他の業種にも適用可能です。

LEAN(リーン思考)

リーン思考は、無駄を排除し、価値を最大化することに焦点を当てたフレームワークです。顧客にとっての「価値」を中心に考え、それ以外の活動(無駄)を徹底的に排除することを目指します。リーン思考は、プロセスの簡素化、効率化、柔軟性の向上に貢献し、多くの産業で採用されています。

業務改善を効果的に進めるポイント

ここからは、業務改善を効果的に進めるためのポイントを紹介します。

業務改善のポイント

  • 目的を明確にする
    業務改善に取り組む前に、何を目的として改善を行うのかを明確にしましょう。例えば、コスト削減や生産性向上、品質向上などが考えられます。目的が明確になれば、改善に向けた方針を立てることができます。
  • チームで取り組む
    業務改善には、多くの場合、チームで取り組むことが望ましいです。
  • データに基づく現状分析を行う
    業務プロセスの改善には、データに基づく分析が必要です。どの部分が問題点であるのか、どのような原因があるのか、どのような改善策が有効かを明確にすることが重要です。データに基づく分析には、業務の実行状況や生産性のデータ、従業員のフィードバックなどを活用することができます。
  • 問題点を洗い出す
    現状分析を行うことで、問題点が明確になります。問題点を洗い出す際には、社員や顧客の意見も積極的に取り入れましょう。問題点を正確に把握することが、改善策を見出す第一歩となります。
  • 改善策を立てる
    問題点を洗い出したら、改善策を立てます。改善策には、業務プロセスの見直しや自動化、作業の標準化などが考えられます。改善策を具体的に立てる際には、社員や関係者との意見交換を行い、多角的な視点で検討しましょう。
  • 実行と検証:改善策を立てたら、実際に改善を行い、その効果を検証します。改善策を実行する際には、スケジュール管理や関係者への説明なども必要です。また、改善後の効果を検証するために、事前に指標を設定し、改善前と比較することが重要です。
  • 組織文化を意識する
    業務改善は、組織文化に大きな影響を与えます。従業員が改善に取り組む意欲を持つような組織文化を整備することが重要です。
  • 試行錯誤を重ねる
    業務改善には、試行錯誤が必要です。複数の改善策を実験的に取り入れ、最適な方法を見つけ出すことが重要です。
  • 定期的なレビューを行う
    業務改善に取り組む場合、定期的にレビューを行うことが重要です。改善策が効果的かどうかを確認し、必要に応じて修正を加えることができます。

業務改善における注意点

業務改善する際には注意点もあるため、事前に理解しておきましょう。

注意点

  • 目的を見失わないこと
    業務改善を行う際には、何を改善するか、どういった目的を持っているかを明確にすることが重要です。改善の目的が曖昧だと、従業員のやる気低下や改善効果の不十分などの問題が生じることがあります。
  • 従業員の負担に配慮する
    業務改善は、従業員の負担を増やすことがあります。そのため、改善策を検討する際には、従業員が負担を感じないように工夫することが必要です。また、従業員に改善の必要性や目的をきちんと伝え、協力してもらうことも重要です。
  • 全体最適を追求する
    業務改善を行う際には、個々の部署やプロセスだけでなく、全体最適を追求することが重要です。部署ごとに改善を行っても、全体の生産性や品質が向上しなければ意味がありません。全体最適を追求するためには、部署間のコミュニケーションを促進することが必要です。
  • 組織に合った改善策を選定する
    業務改善には、多種多様な改善策が存在しますが、全ての改善策があらゆる組織に適用できるわけではありません。そのため、自社の組織や業種に合った改善策を選定することが重要です。また、改善策を実行する前に、必要な知識やスキルを身につけるためのトレーニングを行うことも大切です。

まとめ

ここまで紹介したように、業務改善は、従業員のモチベーション向上や生産性向上などの目的を達成するために取り組むことが必要な取り組みです。業務改善を進めるためには、目的を明確にし、現状の問題点を把握することが重要です。また、改善策を実行する前には、そのメリット・デメリットをしっかりと把握し、全体最適を追求することが必要です。

業務改善には、従業員の協力や組織文化の整備が欠かせません。また、データに基づく分析や試行錯誤を通じて、効果的な改善策を見つけ出すことが必要です。ただし、従業員の負担に配慮したり、全体最適を追求するためには、注意点を把握しておくことが重要です。

業務改善は、一度行ったら終わりではありません。定期的なレビューや改善策の見直しなどを通じて、絶えず改善を続けることが必要です。組織全体が改善意識を持ち、改善活動に参加することで、業務の効率化や生産性向上につながることが期待されます。

以上のように、業務改善には多くのメリットがありますが、適切な方法で進めることが必要です。目的を明確にし、従業員や組織の特性に合わせた改善策を選定し、定期的なレビューや改善活動を通じて、継続的に改善を進めていくことが重要です。

最後に、クロス・オペレーショングループは、営業・カスタマーサクセス・カスタマーサポートのオペレーション構築・効率化を実現し、そのアウトプットを提供しています。自社のオペレーションを改善したい方や、オペレーションの構築に時間がなくて困っている方は、ぜひご相談ください。

この記事を書いた人

Operation事業部

富田 悠介

新卒でベンチャー企業に入社し、複数の新規事業の営業を経験。「お客様の事業成長に貢献したい」という想いから、2020年4月に入社し、一貫してお客様のオペレーション改革に従事。
漫画「キングダム」に登場する、桓騎将軍の「心配すんな、全部上手くいく」という言葉が大好き。
困難な状況に直面することもあるが、成功イメージを持ちながら、日々お客様の課題解決に向き合っている。

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