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SaaSプロダクトとは?その概要や導入メリット、導入する際の5つのポイントについて解説します!

最終更新日:2024.08.30作成日:2024.08.30

現代のビジネス環境において、クラウド技術は急速に普及し、その中でも特に「SaaS(Software as a Service)」は、多くの企業にとって欠かせない存在となっています。かつては高価で複雑だったソフトウェア導入が、SaaSの登場により誰でも手軽に利用できるようになり、ビジネスの効率化やコスト削減に大きく寄与しています。

本記事では、SaaSプロダクトの基本的な概念からその導入メリット、そして代表的なSaaSプロダクトの具体例まで、包括的に解説していきます。

SaaSプロダクトとは

SaaS(Software as a Service)は、インターネット経由でソフトウェアを提供する形態を指します。従来のソフトウェアがユーザーのデバイスにインストールされるのに対し、SaaSはクラウド上で動作するため、ユーザーはインターネットに接続するだけでソフトウェアを利用できます。これにより、インストールやメンテナンスの手間を省くことができ、即座に利用を開始できるのが特徴です。

SaaSの基本的な特徴

クラウド上での運用

SaaSは、ベンダーが管理するクラウド環境で運用されるソフトウェアです。ユーザーは物理的なインフラを持つ必要がなく、すべてがオンラインで提供されます。そのため、ソフトウェアの更新やメンテナンスはベンダー側が行い、ユーザーは常に最新の状態でサービスを利用できます。

サブスクリプションモデル

SaaSは通常、月額や年額で利用料金を支払うサブスクリプションモデルで提供されます。これにより、企業は初期コストを抑えつつ、必要な時に必要なだけの機能を柔軟に利用することが可能です。また、利用規模に応じてプランを調整できるため、成長企業やスタートアップにとっても負担が少ない形態です。

アクセスの柔軟性

SaaSはインターネット接続があれば、場所やデバイスを問わずに利用できます。例えば、オフィスのデスクトップからでも、出先のスマートフォンからでも、同じソフトウェアにアクセスできるため、リモートワークやモバイルワークにも適しています。

SaaSと他のクラウドサービスとの違い

SaaSはクラウドサービスの一形態ですが、PaaS(Platform as a Service)やIaaS(Infrastructure as a Service)とは異なる特徴を持っています。PaaSは主に開発者向けのプラットフォームを提供し、IaaSはインフラストラクチャを提供する形態ですが、SaaSはエンドユーザーが直接利用できるソフトウェアそのものを提供します。これにより、ユーザーは技術的な知識を必要とせず、すぐにサービスを利用できるという利点があります

SaaSプロダクトの導入メリット

SaaSプロダクトを導入することで、企業は多くのメリットを享受することができます。以下に、SaaSの主要な導入メリットをいくつか紹介します。

1. コスト削減

SaaSの最大の魅力の一つは、そのコスト効率の良さです。従来のオンプレミス型ソフトウェアと比較して、SaaSでは初期投資がほとんど不要です。物理的なサーバーやライセンス購入にかかる費用を削減でき、月額や年額のサブスクリプションモデルで必要な機能だけを柔軟に利用できます。特にスタートアップや中小企業にとっては、財務的な負担を軽減できる点が大きなメリットです

2. 導入スピードの速さ

SaaSプロダクトは、インターネットを通じて即座にアクセス可能であり、複雑なインストールや設定が不要です。企業はソフトウェアをダウンロードし、基本的な設定を行うだけで利用を開始できるため、プロジェクトの立ち上げ時間を大幅に短縮できます。これにより、企業は迅速に新しいシステムを導入し、ビジネスニーズに対応することが可能です​

3. スケーラビリティと柔軟性

SaaSは、ビジネスの成長に合わせて柔軟にスケールアップやスケールダウンが可能です。必要に応じてユーザー数や機能を簡単に追加・削除できるため、企業の成長や変化に迅速に対応できます。また、SaaSはインターネット接続があれば、場所を問わず利用できるため、リモートワークや分散型チームの運用にも適しています

4. 最新技術への即時アクセス

SaaSでは、ソフトウェアの更新やアップグレードがベンダー側で自動的に行われるため、ユーザーは常に最新の機能やセキュリティ対策を享受できます。従来のソフトウェアでは、アップグレードに時間とコストがかかることが一般的でしたが、SaaSではその手間がかかりません。これにより、企業は最新技術を取り入れることで、競争力を維持することができます​

5. セキュリティとバックアップ

SaaSプロダクトでは、ベンダーがセキュリティ対策やデータのバックアップを担当します。これにより、企業は自社でセキュリティを管理する必要がなくなり、専門家による高度なセキュリティ対策を利用することができます。また、データのバックアップも自動的に行われるため、災害時や障害発生時にも迅速に復旧できる体制が整っています​

SaaSの導入により、企業は運用コストを削減しながら、ビジネスの柔軟性を高め、迅速な対応が可能になります。これらのメリットは、特に成長期にある企業や、新しいビジネスモデルを模索している企業にとって、非常に重要な要素となるでしょう。

主要なSaaSプロダクトの事例紹介

コミュニケーションツール

Zoom

Zoomは、ビデオ会議やオンラインミーティングの分野で非常に高いシェアを誇るSaaSプロダクトです。リモートワークが普及する中、世界中の企業や教育機関での利用が急増しました。Zoomの最大の特徴は、その操作性のシンプルさと高い接続品質です。無料プランでも100人までの参加が可能で、使いやすさとコストパフォーマンスの両面で高い評価を受けています。また、会議中に画面共有やチャット機能が利用できるため、コラボレーションが容易に行えます

Microsoft Teams

Microsoft Teamsは、ビジネスコミュニケーションのプラットフォームとして非常に強力な機能を持っています。特に、Microsoft Officeとシームレスに連携できる点が大きなメリットです。WordやExcel、PowerPointなどのファイルをリアルタイムで共同編集できる機能により、社内外でのチームワークが大幅に向上します。また、Teams内でチャット、ビデオ会議、ファイル共有を一元管理できるため、分散型チームやリモートワーカーにとって欠かせないツールとなっています

Google Meet

Google Meetは、Google Workspaceの一部として提供されるビデオ会議ツールです。GmailやGoogleカレンダーと統合されており、スケジュール管理と会議の設定が非常に簡単です。特にGoogleのエコシステムを活用している企業にとっては、シームレスな連携が大きな利点となります。高いセキュリティ機能と、Google Driveとの連携によるデータ共有の簡便さも、Google Meetが選ばれる理由の一つです​

会計ソフト

Freee

Freeeは、日本国内で広く利用されているクラウド会計ソフトで、特に小規模事業者や個人事業主向けに設計されています。Freeeの強みは、その高い自動化機能にあります。例えば、銀行口座やクレジットカードの取引データを自動で取り込み、仕訳や帳簿を自動生成します。これにより、経理業務の手間を大幅に削減できるため、経理の専門知識がない事業者でも簡単に使いこなせる点が特徴です。また、給与計算や経費精算機能も充実しており、バックオフィス業務をトータルでサポートします​

マネーフォワード クラウド

マネーフォワード クラウドは、Freeeと並ぶ人気のクラウド会計ソフトで、使いやすさと機能の豊富さで知られています。特に、個人向けの資産管理アプリ「マネーフォワードME」との連携が特徴で、個人と法人の資産管理を一元化することができます。また、経費精算や請求書発行、給与計算など、さまざまなバックオフィス機能が統合されており、業務効率を大幅に向上させることができます。中小企業から大企業まで、幅広い規模の企業に対応できる柔軟性も魅力です​

弥生オンライン

弥生オンラインは、日本で最も多く利用されている会計ソフトのクラウド版です。従来のパッケージ型ソフトウェアとして高いシェアを誇る「弥生会計」がクラウド対応となり、利用者の利便性を大幅に向上させました。特に中小企業や個人事業主に支持されており、シンプルで直感的な操作性が特徴です。また、法令対応が迅速であり、税制改正にも柔軟に対応するため、安心して利用できる点も強みです​

プロジェクト管理ツール

Trello

Trelloは、カンバン方式を採用したプロジェクト管理ツールで、タスク管理を視覚的に行える点が特徴です。ボード、リスト、カードというシンプルな構造により、プロジェクトの進捗状況を一目で把握することができます。Trelloは無料プランでも十分な機能を提供しており、個人プロジェクトからチームでの利用まで幅広く対応します。さらに、Trelloはさまざまなアプリケーションと統合できるため、既存のワークフローに簡単に組み込むことができます​
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Asana

Asanaは、タスク管理からプロジェクト全体の進捗管理まで対応できる多機能なプロジェクト管理ツールです。Asanaの特徴は、その柔軟なカスタマイズ性と直感的なインターフェースです。タスクの優先順位付け、期日設定、進捗状況の可視化など、プロジェクトの細部にわたる管理が可能で、複雑なプロジェクトでも効率的に進めることができます。また、SlackやGoogle Driveなどの他のSaaSツールとの連携が豊富で、ワークフローを最適化するための強力なプラットフォームとなっています​

これらのSaaSプロダクトは、現代のビジネスにおいて欠かせないツールとなっています。それぞれのプロダクトが持つ強みを理解し、自社の業務ニーズに最適なものを選ぶことで、業務効率を向上させ、競争力を強化することが可能です。SaaSの導入に際しては、各プロダクトの機能や特徴を十分に比較検討し、企業の成長を支える最適なツールを選定することが重要です。

SaaS導入の検討ポイント

SaaSプロダクトの導入は、企業にとって業務効率化やコスト削減を実現するための強力な手段です。しかし、その導入が成功するかどうかは、慎重かつ体系的な検討が必要です。以下では、SaaS導入時に考慮すべき重要なポイントについて、より詳細に解説します。

1. 自社の業務ニーズの把握

SaaS導入において最も重要なのは、自社の業務ニーズを的確に把握することです。どの業務プロセスを最適化したいのか、具体的な問題点は何かを明確にすることが、SaaS選定の第一歩となります。例えば、コミュニケーションの円滑化が課題であれば、Microsoft TeamsやSlackのようなツールが適しているでしょう。一方、経理業務の効率化が求められている場合は、Freeeやマネーフォワード クラウドといった会計ソフトが選択肢となります。業務フロー全体を見渡し、どの部分に最も改善の余地があるかを分析し、それに対応するSaaSプロダクトを選定することが成功の鍵です

2. セキュリティとデータプライバシーの確認

SaaSプロダクトを導入する際に、セキュリティとデータプライバシーの確保は最優先事項です。企業の機密情報や顧客データをクラウド上に保管することになるため、そのデータがどのように保護されているかを詳細に確認する必要があります。まず、SaaSプロバイダーがどのようなセキュリティ対策を講じているかをチェックします。具体的には、データの暗号化、二要素認証、定期的なセキュリティアップデートなどが含まれます。また、データセンターの所在や、SaaSプロバイダーがどの国の法律に従っているかも重要な要素です。これにより、GDPRなどのデータ保護規制に準拠しているかどうかを確認することができます

さらに、災害時や障害発生時のデータバックアップと復旧体制についても確認が必要です。SaaSプロバイダーが提供するSLA(サービスレベルアグリーメント)に、どの程度のダウンタイムやデータ損失に対応する保証があるのかを理解しておくことで、リスクを最小限に抑えることができます。また、自社内でのセキュリティポリシーと照らし合わせ、SaaSプロダクトがそれに適合しているかを評価することも重要です

3. カスタマーサポートとサービスの品質

SaaSプロダクトの導入後、何かしらのトラブルや疑問が発生する可能性は避けられません。そのため、導入前にカスタマーサポートの品質を評価することが重要です。具体的には、サポートが提供される時間帯、応答速度、利用できるサポートチャネル(電話、メール、チャットなど)、さらには多言語対応が可能かどうかも考慮に入れるべきです。企業が国際的に展開している場合や多国籍なチームを抱えている場合、サポートが英語や他の主要言語で提供されることは大きなメリットとなります。

また、SaaSプロバイダーの過去の顧客事例やレビューを参照し、実際のサポート体制がどのように機能しているのかを確認することも有効です。例えば、トライアル期間中にサポートに問い合わせを行い、どの程度の対応が得られるかを試すのも一つの方法です。加えて、オンラインのFAQやユーザーコミュニティの充実度も、プロダクトの使いやすさを左右する重要な要素です。自社のニーズに合ったサポート体制が整っているかを見極めることで、導入後のトラブルを未然に防ぐことができます

4. コストパフォーマンスの評価

SaaSの最大の利点の一つは、そのコスト効率の良さにありますが、導入にあたっては全体的なコストパフォーマンスを慎重に評価する必要があります。まず、月額や年額のサブスクリプション料金だけでなく、追加機能やユーザー増加に伴う費用も考慮に入れるべきです。また、他のSaaSプロダクトとの比較において、機能面と価格面のバランスが取れているかを確認することも重要です。

例えば、スモールビジネスにとっては初期費用を抑えることが優先事項かもしれませんが、成長フェーズに入った際にはスケーラビリティや将来的なコストも考慮する必要があります。長期的な視点で、SaaSプロダクトがもたらすROI(投資対効果)を見積もり、どの選択肢が最もビジネスに貢献するかを判断することが求められます。また、無料トライアルやデモ版を活用して実際の使用感を確認し、それが価格に見合う価値を提供しているかを判断することも有効です

5. 導入後の教育と運用管理

SaaSプロダクトを効果的に運用するためには、従業員に対する適切な教育と運用管理が不可欠です。新しいツールを導入する際、多くの従業員がその使い方に不慣れなため、教育プログラムの導入が必要です。これにより、ツールの習得が促進され、業務の効率化がスムーズに進むでしょう。また、導入後の運用管理も重要です。例えば、SaaSの利用状況をモニタリングし、定期的にその効果を評価することで、プロダクトが期待通りに機能しているかを確認します。

さらに、ツールの利用に関する従業員からのフィードバックを収集し、必要に応じて運用方法を調整することも重要です。SaaSの利便性を最大限に引き出すために、IT部門や専任の運用管理チームが中心となって、ツールの最適な利用方法を継続的に模索することが求められます。これにより、SaaSプロダクトが企業の成長を支える重要な要素として、長期的に機能し続けることが期待されます​

SaaSプロダクトの導入は、企業の業務効率化やコスト削減に大きな効果をもたらす可能性を秘めています。しかし、その成功は、事前の綿密な検討と導入後の適切な運用管理にかかっています。上記のポイントをしっかりと押さえ、自社に最適なSaaSプロダクトを選定し、ビジネスの成功へとつなげていきましょう。

まとめ

本記事では、SaaSプロダクトの基本的な概念から導入メリット、代表的なプロダクトの紹介、そして導入時に考慮すべきポイントについて詳しく解説しました。SaaSは、企業が業務効率化やコスト削減を実現するための強力な手段であり、その効果を最大限に引き出すためには、事前の綿密な準備と導入後の適切な運用が不可欠です。

SaaSプロダクトの導入は、単なる技術的な選択ではなく、企業全体の戦略的な判断です。本記事で紹介したポイントを参考に、自社に最適なSaaSプロダクトを選定し、効果的な導入を進めることで、ビジネスの競争力を高め、成功へとつなげていきましょう。

最後に、クロス・オペレーショングループは、マーケ・営業・カスタマーサクセス・カスタマーサポートのオペレーション構築・効率化を実現し、そのアウトプットを提供しています。

SaaSプロダクトの導入や、その真価を発揮させるためのオペレーション構築等にご興味がある方は、ご相談ください。

この記事を書いた人

Operation事業部

佐久間 純也

2023年6月入社。老舗の卸売業者にて経理をはじめとしたバックオフィス全般、営業事務等の業務改善を経験した後、地域の会計事務所にて、経営財務コンサルタントとして従事。財務会計分野だけでなく、お客様の課題解決に広く携わりたいと思い、クロス・オペレーショングループに入社。お客様に寄り添ったヒアリング、課題整理が得意。娘の影響で最近TVゲーム熱が再燃している。

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