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KPIと類似指標の違いを徹底解説!誰でもわかるKPI活用方法

2023.08.09

組織の成果向上と戦略的な目標達成には、KPI(Key Performance Indicator)の活用が欠かせません。KPIは具体的な数値目標として設定され、組織の業績を定量的に評価する重要な指標です。定量的な進捗状況を把握することで、問題点を特定し、改善策を導入することができます。

KPI活用により、組織の成果が透明化され、データ駆動の意思決定が促進されます。また、定量的な目標に向かってチームが協力し、モチベーションが向上します。さらに、過去の実績や業界のベンチマークとの比較により、競争力の向上にも寄与します。

KPI活用は組織の成長と改善に不可欠な手段です。適切なKPIの設定と定期的なモニタリングにより、組織のパフォーマンスを向上させ、成功への道を切り拓きましょう。

本記事では、KPIの説明はもちろん、KPIと類似指標の違いや具体的な設定方法・事例ををわかりやすく解説します。

KPIとは?

KPI(Key Performance Indicator)は、主要業績評価指標の略称です。KPIは、組織や企業が目標達成や業績評価を行う際に使用される重要な指標を示します。これは、特定の目標に向けた進捗や業績を定量的に測定するための指標であり、組織の戦略と目的に合致するように設計されます。

KPIは、業界や組織の特定のニーズに合わせて定義されることが一般的で、収益、顧客満足度、生産性、品質、コスト削減など、さまざまな側面を評価するために用いられます。KPIの適切な設定とモニタリングにより、組織は目標に向けて戦略的に改善し、業績を向上させることができます。

KPI設定の目的

KPI設定の主な目的は、組織や企業が戦略的な目標達成を実現するために、業績を定量的に評価し、モニタリングするための指標を提供することです。具体的なKPIの設定は、以下のような目的を持って行われます。

目標の明確化

KPIは、組織や部門が達成したい具体的な目標を明確化します。戦略的な目標を数値化したり、特定の指標に基づいて設定することで、組織全体が一貫して同じ方向を向いて進むことができます。

進捗のモニタリング 

KPIは、目標に向けた進捗や業績を定量的に測定するための手段として機能します。定期的な報告や分析を通じて、組織は現状を把握し、必要な改善策を立案することができます。

成果の評価

 KPIを使用することで、組織の実績や成果を客観的に評価することができます。過去のデータとの比較や業界基準との比較を通じて、どの程度目標を達成できたかを把握することが可能です。

リソースの最適化

 KPIの設定により、リソースの最適化が可能になります。優先順位をつけたり、重要な業績項目に焦点を当てたりすることで、限られたリソースを有効に活用することができます。

モチベーションの向上

 KPIは、従業員に対して目標を設定し、成果を認識する機会を提供することで、モチベーションの向上にも寄与します。成果に応じた報酬や認知が、従業員の意欲を高める効果があります。

KPI設定の過程は組織にとって重要であり、戦略的な目標達成や業績向上に向けた指針となるものです。

KPIと類似の指標

​​KPIと類似の指標には、次のようなものがあります。

OKR(Objectives and Key Results)

OKRは、目標と主要結果指標の略称です。OKRは目標を設定し、その達成度合いを評価するための数値目標を設定します。KPIと同様に、組織やチームの目標達成を支援し、重要な成果を定量的に測定します。

KGI(Key Goal Indicator)

KGIは、主要目標指標の略称です。KGIは、主要な目標の達成度を評価するための指標を示します。KGIは、組織の戦略的な目標を定量的に追跡するために使用されます。

CSF(Critical Success Factor)

CSFは、重要成功要因の略称です。CSFは、目標を達成するために必要な主要な要因を示します。KPIと同様に、CSFも組織が成功するために重要な要素を定量的に評価します。

SLA(Service Level Agreement)

SLAは、サービスレベル契約の略称です。SLAは、サービス提供者と受け手との間で合意されたサービス品質や効率に関する指標を示します。特定のサービスの品質と効率を定量的に評価するために使用されます。

これらの指標は、組織が目標達成や業績評価を行う際に使用される重要な指標であり、それぞれ特定の目的に応じて設計されています。

​​「OKR」と「KPI」の違い

OKR(Objectives and Key Results)とKPI(Key Performance Indicator)は、両者とも組織の目標達成や業績評価に使用される指標ですが、異なる点があります。以下に、OKRとKPIの主な違いを説明します。

目的と焦点の違い

◾️OKRは「Objectives(目標)」と「Key Results(主要結果指標)」から構成されます。
目標は組織が達成したい具体的な成果を示し、主要結果指標はその目標を達成するための数値目標や指標です。OKRは、組織のビジョンと戦略に合わせて、重要な成果に焦点を当てます。

◾️KPIは「Key Performance Indicator」の略で、組織が定量的に業績を評価するための主要な指標です。

KPIは、組織の戦略的な目標に対する進捗や業績を測定し、定量的な成果を示すために設定されます。

設定方法の違い

◾️OKRは、目標と主要結果指標を具体的かつ明確に設定することが重要です。

目標は野心的で挑戦的なものであり、主要結果指標は定量的かつ測定可能なものであることが求められます。OKRは通常、定期的な評価と進捗報告によって達成度が確認されます。

◾️KPIは、組織や部門の業績評価のために設定されます。

KPIは、目標の達成度合いを測定するための具体的な数値目標や指標であり、通常は組織全体の戦略と連動して設定されます。

対象範囲の違い

◾️OKRは通常、中長期的な目標を設定し、ビジョンや戦略の達成に向けた方向性を示すために使用されます。
目標は組織全体や特定のチームに関連して設定されることがあります。

◾️KPIは、組織の日常的な業績評価やモニタリングに使用されることが一般的です。
KPIは組織全体や特定の部門、プロジェクトなど、より短期的な目標に関連して設定されることがあります。

OKRとKPIは、それぞれ異なる目的と焦点を持ち、組織の目標達成と業績評価に対して補完的な役割を果たします。OKRはより戦略的な目標設定とビジョンへのアプローチに重点を置き、KPIは定量的な業績評価と日常的なモニタリングに焦点を当てます。

「KGI」と「KPI」の違い

「KGI」と「KPI」は、両者とも組織の業績評価に使用される指標であり、類似点がありますが、異なる点もあります。以下に、KGIとKPIの主な違いを説明します。

定義と意味の違い

◾️KGIは「Key Goal Indicator」の略で、「主要目標指標」とも訳されます。
KGIは、主要な目標の達成度を評価するための指標を示します。つまり、組織や部門の中心的な目標に対する進捗状況を示す指標として利用されます。

◾️ KPIは「Key Performance Indicator」の略で、「主要業績評価指標」とも訳されます。KPIは、組織の業績を定量的に測定し、目標達成に向けた進捗状況を評価するための指標です。組織の戦略的な目標や業績に焦点を当てて設定されます。

関連するレベルの違い

◾️ KGIは、組織や部門の中心的な目標に対する進捗状況を示す指標として利用されるため、より高いレベルの業績評価に関連して設定されます。つまり、KGIは組織のビジョンや戦略と連動しています。

◾️KPIは、組織全体や特定の部門、プロジェクトなど、より細かいレベルの業績評価に関連して設定されます。KPIは日常的なモニタリングに使用されることが多く、特定の目標や業務に焦点を当てています。

フォーカスの違い

◾️KGIは、主要な目標の達成度を示す指標として、組織の進捗状況や成果を把握するための重要な要素です。目標達成度合いを評価し、組織の方向性に対して高いレベルの把握を提供します。

◾️KPIは、特定の業務やプロセスに関連する評価指標です。
日々の業務やプロジェクトにおいて、定量的な成果や進捗を測定し、品質向上や目標達成に対する具体的な情報を提供します。

KGIとKPIは、いずれも組織の業績評価に役立つ重要な指標ですが、異なるレベルやフォーカスを持っていることが特徴です。KGIは組織の中核的な目標を把握し、戦略に沿った進捗を確認する際に重要な役割を果たし、KPIは日常的な業績評価とプロセス改善に焦点を当てています。

「CSF」と「KPI」の違い

「CSF」と「KPI」は、両者とも組織の業績評価に関連する指標であり、重要な役割を果たしますが、異なる点があります。以下に、CSF(Critical Success Factor)とKPI(Key Performance Indicator)の主な違いを説明します。

定義と目的の違い

◾️CSFは「Critical Success Factor」の略で、「重要成功要因」とも訳されます。
CSFは、組織が成功するために必要な主要な要因を示す指標です。つまり、組織の成功に欠かせない要素や要因を特定し、重要度を評価するために使用されます。CSFは組織の戦略や目標を支援するために設定されます。

◾️KPIは「Key Performance Indicator」の略で、「主要業績評価指標」とも訳されます。
KPIは、組織の業績を定量的に評価し、目標達成に向けた進捗状況を評価するための指標です。KPIは組織の戦略的な目標や業績に焦点を当てて設定されます。

着眼点の違い

◾️ CSFは、組織が成功するために不可欠な要因を特定するため、より戦略的な視点に立って設定されます。組織の成功に必要な重要な領域を特定し、組織の方向性と関連づけることが重要です。

◾️KPIは、組織の業績を評価し、目標達成に対する具体的な進捗を測定するための評価指標として、よりタクティカルな視点で設定されます。日常的な業務やプロジェクトに焦点を当てて、定量的な成果を評価します。

スコープの違い

◾️ CSFは、組織の成功に必要な主要な要因を特定するため、通常は高レベルの戦略やビジョンに関連して設定されます。戦略的な目標をサポートする重要な要素を把握するために使用されます。

◾️ KPIは、日常的な業務やプロセスに焦点を当てた評価指標として設定されます。

組織の業績を定量的に測定し、目標達成に向けた進捗を評価するため、より具体的な領域に関連して設定されます。

CSFとKPIは、組織の業績評価において重要な指標であり、組織の成功に貢献する役割を果たしますが、異なるレベルや着眼点で設定されることが特徴です。CSFは組織の成功に欠かせない要因を特定し、KPIは組織の業績を定量的に測定するための具体的な指標として使用されます。

「SLA」と「KPI」の違い

「SLA」と「KPI」は、両者とも組織の業績評価やサービス品質向上に関連する指標ですが、異なる点があります。以下に、SLA(Service Level Agreement)とKPI(Key Performance Indicator)の主な違いを説明します。

定義と目的の違い

◾️SLAは「Service Level Agreement」の略で、「サービスレベル契約」とも訳されます。SLAは、サービス提供者と受け手との間で合意されたサービス品質や効率に関する指標を示します。つまり、サービス提供者と顧客との間でサービス品質や効率に関する契約内容を定めるための指標です。

◾️ KPIは「Key Performance Indicator」の略で、「主要業績評価指標」とも訳されます。KPIは、組織の業績を定量的に評価し、目標達成に向けた進捗状況を評価するための指標です。KPIは組織の戦略的な目標や業績に焦点を当てて設定されます。

関連する対象範囲の違い

◾️ SLAは、サービス提供者と顧客との間で契約を定めるための指標です。特定のサービス提供に関連する品質基準や効率を示します。顧客とのサービス提供における品質向上や顧客満足度向上のために重要です。

◾️ KPIは、組織全体や特定の部門、プロジェクトなど、より広範なレベルの業績評価に関連して設定されます。組織の戦略的な目標に対する進捗や業績を定量的に評価するための指標です。

目標の違い

◾️ SLAの目標は、契約したサービス品質や効率を遵守することです。サービス提供者は契約内容に従って顧客に対してサービスを提供し、品質レベルを維持します。

◾️ KPIの目標は、組織の戦略的な目標や業績を達成することです。KPIは組織の戦略に合致するように設定され、業績評価や目標達成に向けた進捗を測定します。

SLAとKPIは、どちらも組織の業績評価に重要な指標であり、品質向上や目標達成に貢献しますが、異なる対象範囲と目的を持っています。SLAは顧客との契約を基にしたサービス品質の評価を行い、KPIは組織の戦略的な目標達成に対する進捗状況を測定します。

KPI活用のメリットと重要性

KPIの活用には、多くのメリットと重要性があります。

1.目標達成の促進

KPIは組織の戦略的な目標と関連して設定されます。KPIを定量的な目標として設定することで、従業員は具体的な目標に向かって努力し、目標達成を促進することができます。

2.パフォーマンス評価と向上

KPIは業績評価に重要な役割を果たします。定量的な指標によって従業員や部門のパフォーマンスを測定し、問題の特定や改善に役立ちます。

3.進捗モニタリング

KPIは定期的にモニタリングされるため、組織は目標達成状況をリアルタイムで把握することができます。問題が発生した場合に早期に気づき、適切な対策を講じることができます。

4.意思決定のサポート

KPIに基づいてデータを分析することで、組織の意思決定が客観的かつ根拠に基づいて行われます。経営者や管理者はKPIの結果を元に、戦略の修正や方向性の決定を行います。

5.リソースの効率化

KPIはリソースの効率化を促進します。目標にフォーカスすることで、リソースの適切な配分や無駄な活動の削減が可能となります。

6.モチベーションの向上

KPIは従業員のモチベーションを高める要因となります。具体的な目標に向かって成果を上げることで達成感が生まれ、従業員のやる気を引き出します。

7.ステークホルダーとの共有

KPIは組織の業績を外部のステークホルダーや関係者と共有する際に有効です。透明性の向上と組織の信頼性を高める助けとなります。

KPIの活用は組織の効率性や成果の向上に大きく寄与し、戦略的な目標達成に向けた重要な手段となります。データ駆動の意思決定を促進し、組織の成長と競争力強化に不可欠な要素として位置付けられています。

KPIの設定方法

KPIを適切に設定するためには、以下のステップを参考にすることが重要です。

目標の明確化と優先順位の付け

まず、組織の戦略的な目標を明確に定義し、重要度や優先順位を付けます。目標は具体的で測定可能なものであることが重要です。

目標との関連性を確認

KPIは目標と直接関連している必要があります。目標達成に寄与するKPIを選定し、目標との関連性を確認します。

KPIの定義

選定したKPIを具体的に定義します。KPIが何を測定する指標なのか、どのような数値で表現するのかを明確にします。

データの収集方法の確立

KPIを測定するために必要なデータを収集する方法を確立します。データの収集源や頻度を明確にし、適切なデータ収集のプロセスを整えます。

数値目標の設定

KPIは数値目標として表現されることが一般的です。目標達成に向けた数値目標を設定し、KPIの達成度合いを定量的に評価します。

ベンチマークの確立

KPIの目標値を設定する際には、過去の実績や業界のベンチマークを考慮に入れると良いです。類似の組織や業界の平均値と比較して、現実的な目標を設定します。

定期的なレビューと改善

KPIは定期的にモニタリングされるべきです。定期的なレビューを行い、進捗状況を確認します。必要に応じてKPIの設定を見直し、改善策を検討します。

関係者の共有と合意形成

KPIの設定は関係者との協力と合意形成が重要です。関係者の意見を取り入れ、KPIに対する理解と共感を得ることが大切です。

これらのステップに従ってKPIを具体的に設定することで、組織の戦略的な目標に対する進捗状況を評価し、成果を向上させるための指標としてKPIが活用されます。

KPIの活用事例

KPIは、さまざまな業界や組織で活用されています。以下は一部のKPIの活用事例をご紹介します。

営業部門のKPI

◾️売上目標達成率:営業チームの売上目標達成率をKPIとして設定し、営業活動の効果を評価します。

◾️新規顧客獲得数:新規顧客の獲得数をKPIとして測定し、市場シェアの拡大や顧客獲得能力を把握します。

カスタマーサービス部門のKPI

◾️平均応答時間(Average Response Time):
顧客からの問い合わせへの平均応答時間を測定し、効率的な顧客対応を評価します。

◾️カスタマーサティスファクション(Customer Satisfaction):

顧客満足度を定量的に評価し、サービス品質の向上に取り組みます。

製造業のKPI

◾️生産性:生産ラインや工程の生産性をKPIとして測定し、効率的な生産プロセスを追求します。

◾️不良率(Defect Rate):製品の不良率をKPIとして把握し、品質向上に向けた取り組みを行います。

人事部門のKPI

◾️離職率(Turnover Rate):

従業員の離職率をKPIとして把握し、離職原因の分析や従業員の定着率向上に取り組みます。

◾️平均研修時間(Average Training Time):

従業員の平均研修時間をKPIとして測定し、スキル向上や能力開発の進捗を評価します。

プロジェクト管理のKPI

◾️進捗率(Progress Rate):

プロジェクトの進捗率をKPIとしてモニタリングし、予定通りのプロジェクト完了を目指します。

◾️バジェット遵守率(Budget Compliance Rate):

予算遵守率をKPIとして確認し、コスト管理を効果的に行います。

これらは一部のKPIの活用事例であり、実際の組織や業界によって異なるKPIが設定されます。KPIは組織の目標達成や業績評価に寄与する重要な指標であり、組織の成果向上に貢献します。

まとめ

本記事では、KPIについての説明や役割、類似指標との違い、具体的な事例をご紹介しました。KPIを設定することで、組織や業務の成果向上や戦略的な目標達成を支援することができます。ぜひ本記事を参考にしてみてください。

最後に、クロス・オペレーショングループは、営業・カスタマーサクセス・カスタマーサポート・コールセンターのオペレーション構築・効率化に向けたコンサルティングサービスを提供しています。自社のオペレーションを改善したい方や、オペレーションの構築に時間がなくて困っている方は、ぜひご相談ください。

この記事を書いた人

Operation事業部

吉田 沙織

2021年5月中途入社。コンサルタントを経て、現在は事業推進グループのマネージャーとして、主に採用・入社オンボーディングを担当。
自社のコンサルタント育成をオペレーション化することで、コンサルタント育成の時間短縮ならびに、コンサルタントデビュー時の水準の大幅向上を実現。コンサル未経験者でも、早期にコンサルとして独り立ちする仕組みを構築。

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