ビジネス用語

EBITDAとは?営業利益との違いやその計算方法、指標を活用するメリットデメリットについて解説します!

最終更新日:2024.10.16作成日:2023.09.11

EBITDAとは

EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization)は、企業の収益性を測るための指標の一つです。具体的には、利息、税金、減価償却費、および償却費を除いた企業の収益を示すものです。この指標は、企業の運営性能や生産性を評価する上で非常に有用です。

EBITDAの計算方法

EBITDAの計算方法は以下の通りです。

EBITDA=営業利益+減価償却費+償却費

ここでいう”償却費”とは、のれんやソフトウェアなど無形固定資産の減価償却費のことを指しています

営業利益との違い

EBITDAは、前述の通り、利子、税金、減価償却、および償却前の利益を意味しています。これに対して、営業利益は通常、販売総利益から販管費を差し引いたものを指しています。

この大きな違いは、EBITDAは減価償却や償却(固定資産の価値低下や無形資産の価値低下に関するもの)といった、キャッシュアウトを伴わない経費の情報を含まないため、それらを含めて算出された営業利益よりも、企業の実際のキャッシュフローがより正確に反映されているという点にあります。

EBITDAを活用するメリット

EBITDAを活用することで、下記のようなメリットがあります。

複雑な財務データの簡潔化

企業の財務健全性及び収益性を評価するにあたり、多様な財務データ及び指標の分析が不可欠です。これらのデータは多岐にわたり、専門的知識を必要とすることが多いのですが、EBITDAは企業の運営から得られるキャッシュの量を示す指標として、これらのデータを一つの数値にまとめる役割を持っています。特に大企業が多岐にわたる部門やプロジェクトのパフォーマンスを評価する際、EBITDAは効率的な基準として機能すると言えます。

企業間の比較の容易さ

企業の収益性や成長性を正確に評価するためには、同業他社や業界全体との比較が必要です。しかし、各企業間での会計基準、税制度の違いなどが影響を及ぼすため、直接的な数字の比較は困難です。EBITDAは外部要因の影響を受けにくい指標であるため、異なる背景を持つ企業間での比較が容易となります。

投資判断の基準としての活用

投資家や金融アナリストは、企業の財務状況や収益性を評価する際に多様な指標を参照しますが、EBITDAはその中でも特に注目される指標です。企業のキャッシュフローの健全性を示すこの指標は、投資判断を下す際の重要な参考情報として利用されます。

経営戦略の策定における参考指標として

企業の経営戦略を策定する際、EBITDAは重要な参考指標として活用されます。この指標の値が高い場合、企業の運営が効率的に行われていることが示されます。一方、低い場合は、経営の効率性に問題がある可能性が示唆されます。

EBITDAを活用する留意点

企業の運営性能や生産性を評価する上で非常に有用なEBITDAですが、その使用には下記のような留意点があります。

完全な企業の健全性の評価が難しい

EBITDAは、利息、税金、減価償却費、および償却費を除外して計算されます。このため、これらの要素が企業の財務健全性やキャッシュフローに及ぼす影響を直接的に反映しないのです。例えば、企業が大きな借入を行っている場合、それに伴う利息負担や資産の実質的な価値低下はEBITDAには反映されません。その結果、借入の多い企業と少ない企業が同じEBITDAを有していても、その背後のリスクは大きく異なるかもしれません。

他の指標との併用が必要

EBITDAは企業の運営性能や収益性の一部を示す指標ですが、企業の全体的な財務健全性や将来的な持続可能性を評価するためには、他の指標との併用が不可欠です。例えば、キャッシュフローや純利益、負債の規模といった指標は、EBITDAだけでは捉えきれない企業の健全性やリスクを示す情報を提供します。これらの指標を組み合わせて分析することで、企業の真の財務状況やリスクを総合的に理解することができます。

投資家やアナリストの過度な依存

EBITDAの簡便さが裏目となり、投資家やアナリストがこの指標に過度に依存するリスクがあります。このような依存は、企業の真の状況を見誤る可能性を生むことがあります。結果として、不適切な投資判断や戦略の策定につながる可能性があります。

企業による数字の調整の問題

EBITDAは計算方法が比較的シンプルであり、そのため企業側が一定の調整を行うことで、数字を意図的に良く見せることが可能です。例えば、一時的な収入やコスト削減を行うことでEBITDAを短期的に向上させるなどの手法が考えられます。このような調整により、EBITDAの数値が企業の真の健全性や収益性を正確に反映していない可能性も考慮する必要があります。

以上の点を考慮すると、EBITDAは非常に有用な指標である一方で、それだけに依存することなく、他の多様な指標と組み合わせて企業の財務状況を総合的に評価することが重要だと言えます。

EBITDAの具体的な活用場面

上記の通り、EBITDAについて解説をしてきましたが、EBITDAは具体的にどのような場面で、どのように活用されるのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

予算策定と業績予測

多くの企業は、年度の始めに業績の予測や予算の策定を行います。この際、過去のEBITDAの推移を参考にすることで、次年度の目標や予算を設定する際の指標として活用されます。特に、業界の標準的なEBITDAマージンを参考にすることで、自社の経営効率や収益性を客観的に評価する材料として用いられます。

投資判断の材料として

投資家やアナリストが企業の健全性や成長性を評価する際の一つの重要な指標としてEBITDAは使用されます。特に、企業の事業ポートフォリオや投資計画を評価する際に、どれだけの資金が事業に再投資されるのか、また、それがどれだけの収益を生むのかを把握するための重要な手がかりとなります。

業界間の比較分析

企業は自らのパフォーマンスを他社や業界平均と比較することで、競争力の強さや弱さを知ることができます。EBITDAは、非常に比較しやすい指標であるため、異なる業界やセグメントの企業との比較に役立ちます。

M&Aの評価

企業が他社の買収や合併を検討する際、EBITDAはその企業の収益性や資産の有効性を評価するための一つの基準として使用されます。特に、異なる業界や地域の企業との比較を行う際、EBITDAは標準化された指標として活用されることが多いです。

資金調達の際の信用評価

金融機関が企業への融資を検討する際、EBITDAはその企業の返済能力を評価する一つの材料として使用されます。安定したEBITDAを持つ企業は、財務的に健全であると評価され、より有利な融資条件を得ることができる場合があります。

EBITDAの活用は非常に多岐にわたります。上記の例は、その一部に過ぎません。しかし、これだけの幅広い活用法があることからも、EBITDAが企業経営においてどれほど重要な指標であるかが伺えます。企業の健全性や収益性を評価する際に、EBITDAを適切に活用することで、より的確な判断を下すことができるでしょう。

まとめ

EBITDAは、企業の運営性能や収益性を示す非常に有用な指標です。複雑な財務データを簡潔にまとめ、企業間の比較を容易に行うことができるため、多くの経済学者やアナリストに広く利用されています。しかし、その簡便さゆえの欠点や制約も存在します。特に、完全な企業の健全性の評価が難しい点や他の指標との併用が必要な点は注意が必要です。