SaaS

バーティカルSaaS(Vertical SaaS)とは?特徴や導入のメリットデメリットについて、ご説明いたします!

最終更新日:2024.08.30作成日:2024.08.30

バーティカルSaaS(Vertical SaaS)とは

バーティカルSaaS(Vertical SaaS)は、特定の業界や市場ニッチに特化したクラウドベースのソフトウェアソリューションを指します。一般的なSaaS(Software as a Service)よりも限定された分野に向けたサービスであり、カスタマイズ性が高く特定業界のニーズに巧みに対応するのが特徴です。

バーティカルSaaSの目的と台頭した背景

バーティカルSaaSの目的は、特定の業界固有の問題を解決するために、専門性の高いソフトウェアツールを提供することにあります。例えば、医療、金融、教育、製造、リテールなどの業界は、それぞれ異なる運用ニーズや規制があります。汎用的なソフトウェアよりも、それぞれの業界に特化したソリューションが求められていました。

背景としては以下の要因が挙げられます。

技術進歩

クラウドコンピューティングの普及により、企業はソフトウェアをインターネット経由で利用できるようになり、高度な専用ソフトウェアの開発と提供が容易になったことが挙げられます。

市場のニーズ

特定の業界が求める専門的な機能を汎用ソフトウェアでは満たすのが難しく、特化されたソリューションの需要が高まったことが挙げられます。

競争の激化

企業間の競争が激化する中で、業界ごとに最適化されたソフトウェアを利用することで競争優位性を確保しようとする動きが強まったことが挙げられます。

バーティカルSaaSの特徴

バーティカルSaaSには、一般的には、以下のような特徴があります。

専門的な機能

特定の業界のニーズに対応するため、非常に具体的な機能が搭載されています。例えば、医療用バーティカルSaaSでは電子カルテ管理、予約システムなどが含まれます。

カスタマイズ性

企業ごとの細かな要望に応じてカスタマイズが可能でありながら、依然としてクラウドベースの利便性を持っています。

業界特有のコンプライアンス対応

金融や医療など、特定の業界は厳しい規制があるため、それに対応するソフトウェアが必要です。

データの一元管理

業界特有のデータを一元管理することで、効率的な業務運営を可能にします。

効率的な導入プロセス

クラウドベースで提供されるため、物理的なインフラを必要とせず、迅速に導入することが可能です。

バーティカルSaaSの市場規模

バーティカルSaaSの市場規模は年々拡大しています。調査会社によると、バーティカルSaaS市場は数百億ドル規模に達し、引き続き急成長が予測されています。特に以下の業界で強い需要が見られます。

医療

電子カルテシステム、予約管理システムなどが急速に普及しています。

製造

製造管理ソフトウェアが生産プロセスの効率化をサポートしています。

リテール

在庫管理、顧客管理、POSシステムなどがリテール業界で広く使われています。

教育

オンライン学習プラットフォーム、学習管理システム(LMS)などが急速に拡大しています。

バーティカルSaaSを活用するメリット

バーティカルSaaSを活用することで、企業は多くのメリットを享受できます。

業務効率の向上

専門的な機能を持つソフトウェアにより、業界固有な業務の効率化を実現できます。

コスト削減

クラウドベースのため、物理的なインフラを必要とせず、コスト削減が可能となります。

迅速な導入

インターネット経由での利用が可能なため、迅速に導入できるようになります。

高度なセキュリティ

業界特有のセキュリティ要件に対応し、データの保護を確保できるようになります。

スケーラビリティ

企業の成長に合わせて容易にスケールアップが可能となります。

バーティカルSaaSを活用するデメリット

一方で、バーティカルSaaSにはいくつかのデメリットも存在します。

初期コスト

専門的な機能を持つため、初期コストが高くなることがあります。

カスタマイズの限界

極端に特殊なニーズには対応しきれない場合があります。

依存度

特定のベンダーに依存するリスクがあり、ベンダーの変更が難しいです。

データ移行の難しさ

既存のデータを新しいシステムに移行する際に困難が伴う場合があります。

バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSとの違いは?

ホリゾンタルSaaS(Horizontal SaaS) は、特定の業界ではなく広範な市場に向けた汎用的なソフトウェアを提供します。例えば、Google WorkspaceやMicrosoft 365などがこれに該当します。業界を超えて広く使われるのが特徴です。

主要な違いについて、ご紹介いたします。

対象市場

バーティカルSaaSは特定の業界に焦点を当てているのに対し、ホリゾンタルSaaSは広範な市場に対応することができます。

機能の専門性

バーティカルSaaSは特定業界のニーズに対応した専門的な機能を持ちます。一方、ホリゾンタルSaaSは汎用的な機能を提供してくれます。

カスタマイズ性

バーティカルSaaSの方が高いカスタマイズ性を持ちますが、ホリゾンタルSaaSは一般的に設定がシンプルとなっています。

バーティカルSaaSの具体例

バーティカルSaaSに関する具体例について、いくつかご紹介いたします。

医療分野

Epic

電子カルテ(EHR)システムを提供し、病院や診療所の業務を効率的に管理することができます。

Cerner

医療情報システムを提供し、患者ケアの質を向上させます。

製造分野

Plex Systems

製造業向けのERP(Enterprise Resource Planning)ソリューションを提供し、生産管理、在庫管理における効率化を実現することができます。

IQMS

製造工程全体を管理するためのソフトウェアを提供してくれます。

リテール分野

Shopify

オンラインストア構築のためのプラットフォームで、小売業者が自分のウェブサイトを通じて商品を販売ですることができます。

Square

POS(Point of Sale)システムを提供し、店舗の会計業務を効率化することができます。

教育分野

Canvas

学習管理システム(LMS)を提供し、オンライン授業や課題管理をサポートしてくれます。

Udemy for Business

企業向けのオンライン学習プラットフォームで、社員研修をサポートしてくれます。

まとめ

バーティカルSaaSは、特定の業界に特化したクラウドベースのソフトウェアソリューションを提供し、高い専門性とカスタマイズ性が特徴となっています。その市場規模は急速に拡大しており、多くの業界で採用されています。バーティカルSaaSを活用することで、企業は業務効率を向上させ、競争力を強化することができますが、デメリットも踏まえて慎重に選定することが重要です。ホリゾンタルSaaSとの違いや具体的な事例を理解することで、適切なソリューションを選択できます。

最後に、クロス・オペレーショングループは、マーケ・営業・カスタマーサクセス・カスタマーサポートのオペレーション構築・効率化を実現し、そのアウトプットを提供しています。

資金調達後、自社のオペレーションを構築したい方や、マニュアル化、型化にお困りの方は、ぜひご相談ください。

この記事を書いた人

Operation事業部

辻川 知週

新卒から5年間、一貫してセールス職を経験。その後、自身で飲食店を創業し、従業員が行う業務のマニュアル化や仕組化をしたことで売上拡大に成功。オペレーショナル・エクセレンスの実現により、身をもってオペレーションの重要性を体感。この成功体験を広めるべく、オペレーション改革の第一線であるクロス・オペレーショングループに入社。週5日ジムに通うほどのトレーニー。

お気軽に
ご相談ください

属人的な業務を脱却させたい、仕組で事業を伸ばしたい、DXに適応した業務改革を行いたい等
オペレーションに関する悩みや不明点は全てクリアにできます。お気軽にご相談ください。