RE100とは
「RE100」とは「Renewable Energy 100%」の頭文字を取った言葉です。その名の通り、自然エネルギー100%でのビジネス活動を行うと宣言した企業が加盟する国際的な集団です。2050年までに事業活動に使用するエネルギーの100%を、太陽光や風力などの再生可能エネルギーから調達することを目標にしています。
RE100は再生可能エネルギーにより事業活動を行う
RE100に加盟した企業は、自社の事業活動において、再生可能エネルギーのみを使用することを目指しています。風力、太陽光、水力などの自然エネルギー源を利用して、持続可能なエネルギー供給を実現するのが、彼らの共通のゴールです。RE100の主な目的は、化石燃料には頼らず、持続可能な未来を築くために再生可能エネルギーを促進することです。
RE100へ加盟することで企業が得られるメリット
RE100へ加盟すると、以下のメリットが得られます。
- ESGという点で企業価値を高められる
- エネルギーリスクへ対処できる
- 加盟企業が増えるほど再生可能エネルギーのコストが下がる
それぞれ詳しく解説します。
ESGという点で企業価値を高められる
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を合わせた言葉です。RE100への加盟は、企業の環境、社会、ガバナンス(ESG)評価を向上させる重要な手段です。再生可能エネルギーの活用は、環境に対する積極的な取り組みを示し、投資家や消費者からの信頼を高め、企業価値を向上させます。ESG評価が企業の持続可能性へのコミットメントを示す指標として重要視されている現代において、RE100への参加は企業の評判を向上させる要因となります。
エネルギーリスクへ対処できる
再生可能エネルギーの使用は、化石燃料に依存することから生じるエネルギーリスクを軽減するのに役立ちます。エネルギー供給の安定性やコストの予測可能性が向上し、企業はリスクを低減できます。例えば、燃料価格の急上昇やエネルギー供給の中断による事業への影響を最小限に抑えることができます。
加盟企業が増えるほど再生可能エネルギーのコストが下がる
再生可能エネルギーのコストは、企業の経済効果や技術の進歩に伴って低下しています。RE100への加盟企業が増えることで、さらなる需要が生まれ、再生可能エネルギーのコストは一層低下するでしょう。これは、企業にとってエネルギーコストを削減し、競争力を高める機会を提供します。
RE100に加盟するための条件とは
RE100に加盟するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 100GWh以上消費するような影響力がある
- 再生可能エネルギーの100%利用に対して公約する意志がある
- RE100が決める最低限の期限を設けた達成のための戦略を持つ
- 毎年報告書を制作し、進捗状況を提出できる
一つひとつ解説します。
100GWh以上消費するような影響力がある
RE100への加盟条件の一つは、企業が年間で100ギガワット時(GWh)以上の電力を消費することです。高い電力消費量を持つ企業が加盟することにより、再生可能エネルギーの利用が実質的に拡大され、大規模なエネルギー変革が推進されます。企業のエネルギー消費量に対する影響力が大きいほど、RE100の目標達成に貢献できるでしょう。
再生可能エネルギーの100%利用に対して公約する意志がある
企業はRE100への加盟に際して、再生可能エネルギーを100%利用する公約文書を提出する必要があります。この公約は、再生可能エネルギーの積極的な採用を示すものであり、変革への真剣な意志を象徴しています。企業は公約の達成に向けた具体的な計画を策定し、実行しなければなりません。公約の達成度はRE100の重要な評価基準の一つとなります。
RE100が決める最低限の期限を設けた達成のための戦略を持つ
加盟企業は、RE100が設定する最低限の期限内に、再生可能エネルギーの100%利用を達成するための戦略を策定し、実行する必要があります。これには、エネルギー供給契約の見直し、再生可能エネルギー発電プロジェクトの建設、エネルギーエフィシエンシーの向上など、多岐にわたる取り組みが含まれます。戦略の設定は企業の特性や産業に合わせて行われます。
毎年報告書を制作し、進捗状況を提出できる
RE100に加盟した企業は、毎年の報告書を作成し、RE100運営チームに提出することが求められます。この報告書には、以下の情報が含まれます。
- 過去年度の再生可能エネルギーの利用状況
- 目標達成のための進捗状況
- 再生可能エネルギーの導入に伴うコスト削減
- 環境への影響に関するデータ
- 企業の持続可能性へのコミットメントに関する情報
透明性と責任のある取り組みを示すために、報告書の提出は重要なステップです。RE100運営チームはこれらの報告書を詳細に審査し、加盟企業の進捗状況を監視します。
RE100の加盟申請方法
企業がRE100に加盟するためには、以下の手順で行います。
申請フォーム記入
RE100の公式ウェブサイトでは、詳細な申請方法について記載しています。まずはウェブサイトから入手できる申請フォームに記入して、加盟する意思を示しましょう。申請フォームには、企業の基本情報、電力消費量、再生可能エネルギーの導入計画、戦略などの情報を記入します。
公約の提出
企業は、再生可能エネルギーの100%利用に対する公約文書を提出する必要があります。この公約は、RE100のガイドラインに準拠し、具体的で実現可能なものでなければなりません。
審査
提出された情報は、RE100の運営チームによって審査されます。申請内容が条件を満たしているかどうかを確認し、必要ならば追加情報を提供するよう求められることがあります。
加盟承認
申請が承認されたら、企業は正式にRE100の加盟メンバーとなります。この際、公に発表され、企業はRE100のロゴを使用できるようになります。
RE100の課題
RE100には、次のような課題があります。
- 中小企業は加盟できない
- FIT制度の電力は再生可能エネルギーとして認められない
それぞれの課題について解説します。
中小企業は加盟できない
RE100は、高い電力消費量を必要とするため、中小企業には加盟が難しいとされています。資金力に乏しい中小企業は、再生可能エネルギーの導入に関連するコストや条件への対応が難しく、RE100への加盟は現実的ではありません。この課題に対処するために、中小企業向けの支援策や柔軟な条件が検討されています。今後は、中小企業が持続可能なエネルギーへの移行に参加しやすくするための施策が求められるでしょう。
FIT制度の電力は再生可能エネルギーとして認められない
一部の国では、再生可能エネルギーを使用する企業がFeed-in Tariff(FIT)制度から電力を購入することがあります。しかし評価基準によっては、FIT制度の電力はRE100の要件を満たす再生可能エネルギーとして認められない場合があるので注意しなければなりません。
FIT制度は、再生可能エネルギー発電事業者に固定価格で電力を買い取る制度であり、企業が再生可能エネルギーを導入する手段の一つです。しかし、RE100の要求する条件に合致しない場合、企業は他の再生可能エネルギー供給源を模索する必要があります。この問題に対処するために、FIT制度の電力をRE100の要件に合致させるための方策が模索されています。
まとめ
RE100は、企業が再生可能エネルギーへのコミットメントを示す重要な取り組みであり、環境への貢献や企業価値の向上に寄与します。加盟企業は、高い電力消費量や公約の達成に向けた戦略を持ち、毎年報告書を提出することで透明性と責任を維持します。
しかし、中小企業向けの支援やFIT制度の評価など、課題も存在し、RE100の改善と拡充が求められています。企業が再生可能エネルギーへの移行を積極的に進め、持続可能な未来への貢献を続けることが、RE100の目標達成に不可欠です。再生可能エネルギーの普及が進むことで、地球環境への負荷を軽減し、エネルギー供給の安定性を向上させる一助となります。
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コラム編集室
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