業務フロー

現場が実務で使いやすいような業務フローの作り方

最終更新日:2025.01.27作成日:2025.01.27

はじめに

業務フローは、業務プロセスを視覚化して効率化を図るための重要なツールです。しかし、作成した業務フローが現場の実情に即していなかったり、分かりづらかったりすると、現場で活用されないことも少なくありません。特にフォーマットや記号の使い方、分岐のルールが不明瞭だと混乱を招きます。

本記事では、現場が実務で使いやすい業務フローを作成する方法を具体例を交えながら解説します。また、作成した業務フローを現場に浸透させるための取り組みについても触れます。これを参考に、現場の従業員が本当に使いやすい業務フローを作り上げてください。

現場が見やすい業務フローとは

現場の従業員が「見やすい」と感じる業務フローには、以下の特徴があります。

1. シンプルでわかりやすい構成

  • 流れが一目で理解できるように、左から右、または上から下に進む構造を採用します。
  • 過剰な情報を詰め込まず、必要な情報に絞って表現します。

2. 適切なフォーマットとデザイン

  • フォントと文字サイズ
    読みやすいフォント(ゴシック体やサンセリフ系)を選び、重要な箇所は太字や色で強調します。文字サイズは適切で、小さすぎないようにします。
  • 色分け
    作業ステップごとに色を分けると、視覚的な理解が深まります。たとえば、承認プロセスは青、作業タスクは緑などの色分けを行います。

3. 明確な記号の使用

  • 業務フロー内の各要素を記号で示します。一般的には以下の記号が使われます:
    • 楕円形:プロセスの開始・終了
    • 四角形:タスクや作業
    • 菱形:条件分岐

具体例:顧客対応の業務フロー

たとえば、カスタマーサービスの業務フローでは以下のようなデザインが考えられます:

  1. 顧客からの問い合わせを受け付ける(楕円形)。
  2. 内容を確認し、問題解決が可能かを判断(菱形)。
  3. 解決できる場合は回答(四角形)、解決できない場合は別部署にエスカレーション(矢印で別の四角形に接続)。
  4. 問題が解決したら、対応を記録し完了(楕円形)。

このようなシンプルで視覚的にわかりやすい構造を採用することで、現場での理解が深まります。

業務フローの作り方の説明

効果的な業務フローを作成するには、以下の手順を参考にしてください。

1. 現場の業務プロセスを洗い出す

まず、対象となる業務を最初から最後までリストアップします。関連するタスクや担当者も含めて、現場の実態を正確に把握することが重要です。

2. フローを整理し、記号で表現する

業務の順序や分岐を以下の記号を使って図示します:

  • 楕円形:開始点や終了点
  • 四角形:具体的な作業(例:在庫確認、データ入力など)
  • 菱形:条件分岐(例:「在庫がある場合は出荷へ進む」「在庫がない場合は補充を依頼」)

3. 分岐のルールを明確にする

条件分岐が含まれる場合、具体的な判断基準を明記します。たとえば:

  • 条件:「注文数が在庫数を超えているか?」
  • 分岐:「超えていれば補充依頼、超えていなければ出荷準備」

4. 視覚的な整理を行う

流れが複雑にならないよう、ステップをグループ化したり、関連する作業をまとめたりします。これにより、全体像を把握しやすくなります。

5. デジタルツールを活用する

業務フローをデジタルで作成する場合、以下のツールを活用すると効率的です:

  • Lucidchart
  • Microsoft Visio
  • Google Drawings

これらのツールを使うと、修正や共有が簡単になります。

現場へ業務フローを使ってもらうために実施すること

業務フローは作成して終わりではなく、現場での浸透が欠かせません。そのために以下の取り組みを行いましょう。

1. 現場向けの説明会を開催する

新しい業務フローが導入された際、説明会を行い現場にフローの意図や使い方を共有します。具体的には以下を説明します:

  • なぜ業務フローを導入するのか?(目的)
  • 各ステップの役割や進め方(具体的な操作)
  • 現場で気をつけるべきポイント

具体例:倉庫業務のフロー説明会

新しいピッキング手順を導入する際、現場作業員向けに以下の説明会を実施:

  • ピッキング作業を可視化した業務フローの配布。
  • 実際の手順を現場でデモンストレーション。
  • 質疑応答を行い、不明点をその場で解消。

2. 実践トレーニングを行う

業務フローを実際に使用するトレーニングを現場で行います。特に複雑なプロセスや分岐が多い場合は、実践を通じて理解を深めてもらいます。

3. フィードバックを定期的に収集

業務フローを実際に使った現場の意見を定期的に収集し、改善を続けます。現場の声を取り入れることで、フローがより実用的になります。

4. 定期的な更新とモニタリング

業務内容や環境の変化に応じて業務フローを更新し、現場が常に最新の情報を基に作業できるようにします。また、業務フローが適切に使われているかを確認します。

終わりに

現場が実務で使いやすい業務フローを作成することは、業務効率や品質向上に直結します。ただし、業務フローは「見やすさ」と「使いやすさ」を両立させる必要があります。また、現場への説明会やトレーニング、フィードバックの収集を通じて、フローが定着するように働きかけることも欠かせません。

本記事を参考に、現場の視点を取り入れた業務フローを作成し、業務運営を改善していきましょう。